一人の旅は大変楽しい。どこへ行くのも、いつ何を食べるもの全部自分で決められて、誰かに気を使わなくてもいいから。特に、海がある街を旅するのは楽しい。車で海岸沿いをずっと走り、疲れたら浜辺でちょっと休憩。おにぎりやおやつを買い込んで車に乗せてあるので、海を見ながらそれらを食べる。道ばたに「おっ」と思った食堂を見つけたら、ふらっと入っておすすめ料理なんかを注文する。その街の市場や産直品のお店にに入って、その土地の特産品をつまみ食いする。そんな感じの気ままな旅に出たくなる曲がある。ひとつはキリンジの「ブルーバード」。車の窓を開けて、気持ちよい風を受けながらどこまでもどこまでも進んでいきたくなる歌。もうひとつはキリンジ兄である堀込高樹の「絶交」。彼の曲の歌詞はなかなか非情で好きなのだが、この曲もまた非情。でも、よくぞこんなに清々しい孤独の歌を作ってくれましたと感謝したくなるような歌。なにせ歌いだしは「君を捨てて」から始まるし、歌詞の内容と言えば、恋人も友達も仕事もみんな捨てて誰も知らない街へ行くという内容。この歌を聴いていると、孤独のネガティブなイメージがさわやかに変わっていく。現実には旅が終われば家に帰るし、家には待っている人もいる。が、知らない街を旅している途中は、こんなふうにつかの間のさわやかな孤独感を感じる事がある。くるりの曲も旅のイメージがかなり強いが、こちらはどれもちょっと寂しい感じがする。それはそれで好きだが、やはり前向きで清々しい旅にはキリンジの2曲が必須。