得られないもの

 今日も午前中はImmigration Officeでビザ関係のミーティング。私のビザを切り替えた方が良いのかどうかの検討をする。今まではJ2ビザだったので、夫が帰国することになると私も自動的に帰国しなければならなかった。でも働き始めた今はJ1ビザを得る事ができ、夫が帰国しなければならない事態になっても、私のビザの期限が続いている限りはアメリカに滞在できるのだ。ただしビザの切り替えには多少お金がかかるので、どちらが良いかということを相談していたのだ。Immigrant Officeの担当の方は大変親切で親身になって考えてくれるので、とても感謝している。彼に限らず私が働き始めてからというもの、本当に周りの人達の親切に助けられている。それだけでなく、アメリカに来てからずっと、あまりに周りの人達が親身になって世話をしてくれるので、その親切ぶりには驚いている。さて、お昼頃ちょっと散歩に外へ出ると、あちこちのアスファルトに化学式や化学反応式などが色とりどりのチョークで書かれているのを見てびっくりする。そして噴水脇ではプロフェッサーと学生たちが集まってディスカッションをしていたり、アスファルトの化学式をノートに書いたりしている。今日は非常に暖かくて気持ちの良い春の日なので、おそらく外で講義を行っていたのだろうと思われる。午後からはラボで一番テクニックがあると言われているJessicaから、PCRレーニングを受ける。彼女はなんと料理学校を卒業していて、シェフのような仕事もしていたという面白い経歴の持ち主。仕事を終えて、5時半頃帰宅。夫も偶然、同じ時間に帰宅。夕食の準備をして、UMASSオーケストラのコンサートに出かける。もともと夫と一緒に行くつもりだったのだが、昨晩Mさんからチケットが1枚余っているので一緒にどうかとのお誘いがあったので、Mさんと待ち合わせをして3人でコンサート会場に入る。プログラムはSaint Saensの 'Samson et Dalila', Schumannのチェロコンチェルト、Mozartのピアノコンチェルト23番、Keiko AbeのマリンバとオーケストラのためのPrism Rhapsodyの4曲。3曲目までは正直つまらんなーと思って聴いていたが、最後の曲がすばらしかった。何と言ってもソリストがすばらしい。graduate studentらしいのだが、彼の技術と音楽センスのあまりの良さに嫉妬さえ覚えるほど。私は昔から音楽が好きで、ピアノやヴァイオリンをやっていた事もあるのだが、自分の音楽センスの無さをいやというほど思い知って落胆した経験がある。自分で言うのもなんだが、私は昔から器用貧乏で、ある程度の事はちょっとやれば出来るようになる。でも、音楽はだめだった。音楽センスばかりはどう頑張ったところで身に付かない。というより、音楽センスは身につけるといった類いのものではない。だから私は音楽センスがある人に、とても憧れる。今日は久しぶりに、そういうものを感じる演奏に出会ったのだった。