住めば都

 アメリカに来た当初、日本との食材の違いに何を買って何を料理すれば良いのかさっぱりわからなかった。日本のような薄切り肉は無いし、野菜も見慣れないものばかり。キャベツだ!と思って購入してもそのキャベツは日本のものと全く違ったり、米もどんなものを買えば良いのかわからなかった。また、どこかで外食をしても、その味と盛りつけのおおざっぱさには閉口したものだった。それが、半年たった今ではすっかりこちらの味に慣れてしまった。車を入手したりアジア食材店を見つけたりしたせいもあるが、それを抜きに考えてもさほど日本でのご飯が恋しいと思う事がなくなった。たとえば、最初の頃は日本のふわふわスポンジで繊細な甘さのケーキが恋しいと思っていたが、いまは食べごたえのあるどっしりしたケーキもウェルカムだ。半年前は「居酒屋行って焼き鳥食べたい。」と思っていたが、今の私の大好物はバッファローチキンwithブルーチーズ・ディップだ。これがない生活なんて考えられない。豆腐に至ってはアメリカの方がおいしい。固さのバリエーションが豊富だし、豆の味がしっかりするし、オーガニック豆腐なんぞ日本より安い。まあこんな風に思えるのも、日常のごはんで日本食を食べているからなのだと思う。米はササニシキあきたこまちが5Kg14ドルで手に入るし、みそ汁も毎日食べられる。みりんや醤油、豆腐などのおなじみ食材も普通にスーパーに売っている。昔の留学生は、今のように簡単に日本の食材なんか手に入らなかったであろう事を考えると、さぞや日本食が恋しかっただろうなーと想像する。日本食ブームということもあって、かなり簡単に日本の食材が手に入りやすい現在の状況を大変ありがたく思う。逆に、いつか日本に戻ったらバッファローチキンが食べられなくなるんだなぁと思うと、かなーり寂しい。でも、アメリカで食べるからこそおいしいのかな。なんだかまとまりのない文章になってしまったが、いずれにせよ日々のご飯をおいしいと思えるようになった事は、今後もしばらくこちらで生活して行くうえで良かったと思う。半年前の私には想像もつかなかったことだ。今後もますます、アメリカでのおいしいものや料理法を見つけて行きたいものである。