Django in June

 夏は音楽祭の季節である。私が勤めるSmith Collegeでは今月、「Django in June」という音楽祭が催された。ミュージシャン向けには1週間の音楽キャンプ、一般の人向けには金曜日と土曜日の夜にコンサートが企画されていた。私と夫は土曜日のコンサートへ。会場は大学内の教会。前半は歌も入ったジプシー音楽。30分の休憩を挟んで、後半はヴァイオリン、ギター、ベースの構成に変わる。この日は初夏の気持ちの良い日で、会場では冷たいワインやスイーツなどが販売されている。アルコールを受け付けない体の私は、ワインを飲みながら気持ち良さそうに音楽を聴く人達をうらやましく眺める。さて、ちょこっとだけヴァイオリンをかじった事のある私にとって、DjangoといえばGrappelliである。ヴァイオリンにギターとくれば、当然彼らの演奏を思い出す。この晩のヴァイオリニストはTim Kliphuis(オランダ人)、ギタリストはWawau Adler(ドイツ人)。2人とも私の知らないアーティストである。彼らの演奏は、結論から言うと大変に素晴らしかった。まず、何より上手い。今までいろいろ生で演奏を聴いて来たけれど、これまでで一番上手いんじゃないかと思う。ギターの技術についてはわからないが、少なくともヴァイオリニストの技術の高さには驚くべきものがあった。それだけではなく、彼らの演奏はcuteなのだった。ギタリストはアドリブにわざと調弦をいれたり、ヴァイオリニストはモーツァルトやバッハのフレーズが入ったり、その入れ方も絶妙。7時半から始まったコンサートが終わりを迎えたのは10時過ぎ。あっという間の2時間半だった。来月はUMASSにて「Jazz in July」という音楽祭が開かれる。今から楽しみである。