Brewer

 昨日はMaryにPCR recombinantの解析ソフトウエアの使い方を教えてもらう。PCでしか使えないソフトなので、どこかの教室まで行かなくてはならず、面倒。しかもこれから先膨大な量のシークエンスを見直さなくちゃならないと思うとうんざりする。Maryも「この作業、一番嫌い。」とぼやいていた。そんなMaryは10月でwet labを終え、本格的に博士論文を仕上げる作業に入る。一緒にランチを食べながら、「もうちょっとでwet labも終わりだねー。」と言うと、「そんな状況、想像できない。」と本当に悲しげな顔を見せるMary。彼女はSmithの生え抜きなので、ラボに対する思いも深いものがあるだろう。でも、またすぐにポスドクとしてwet labに戻れるよねと言い合い、うんうんと頷く。夕方からは親分と、ラボのメンバー、いつも一緒にセミナーをしているプロフェッサーでNorthamptonのBrewerで飲み会。美味しい物をたくさん食べて、普段はちょっと聞けない裏話も聞けておおいに楽しむ。親分はかなりオープンで奔放な人なので、こういった場での話はいつも面白い。帰り道、親分と2人で歩きながらの話の中で、私が次の職にアプライする時には・・みたいな事をいわれ、「へっ?」と思った。私は知らないうちに自分の中で夫の仕事について行くものだと思い込んでいて、自分でテニュアの職を得ることを考えていなかったことに気付く。それを察知してか、親分に「日本でテニュアの職を得るのは簡単か難しいかわからないけど、アメリカででもアプライしてみるべきだ。そのためには・・(いろいろとやるべき事をつらつらと話しだす)。」と言われる。親分は2人の子供がいる既婚の女性である。だから結婚して子供を育てつつ研究職を続ける事の大変さをよく知っている。しかも、自分と夫の両親の介護もやりながらだ。一日に家とラボを何度も往復して、介護をしながら15〜20人近くの学生たちの研究もしっかり見ている。その証拠に質の良い論文をコンスタントに出している。ラボにはシングル・マザーも2人いて、彼女たちの状況についてもきちんと把握してサポートしている。全く、頭が下がる親分なのである。そんな親分から将来の事を具体的に話してもらい、私は大変うれしかった。まあ、私に早く論文を書けとはっぱをかけているのかもしれないが、親分の話は十分に励みにはなる。今年中に1本、論文を出したいものである。