ポリスに鼻で笑われる

 先週の金曜日の出来事。私のいる大学では夜も6時を過ぎると電気が消えて人の気配がしなくなる。金曜日は週末だから、そんなに遅くまで残るばかな人はいない。というわけで、私は金曜の夜7時頃、一人でラボにいた。小腹が減ったので、ラボを出ておかしをぱりぱり食べ、さて実験に戻ろうかと思ったそのとき、ドアがロックされている事に気づく。鍵はもちろんラボの中。つまり、私はロックアウトされたという訳だ。途方に暮れていると、偶然にもまだ残って仕事をしていた数学科のプロフェッサーが私を発見して声をかけてくれた。事情を説明すると、すぐに彼女のオフィスに連れて行ってくれて、大学のポリスに電話をしてくれた。私が電話でポリスにロックアウトされたことを告げると、明らかに電話の向こうでポリスが鼻で笑っている様が伺えた。その15分後にポリスがラボまできてくれて、ようやく私はラボに入る事ができた。自分のラボからロックアウトされる情けなさに脱力する。翌日土曜日の夜は夫の同僚で、私たち夫婦のアメリカでの恩人でもあるNingのお別れBBQパーティー。私たちがアメリカに来て間もない頃、彼女がアパート探しや諸処の手続き、家具や家電製品の買い物など、すべてのお世話をしてくれた。ドクター・コースの間に子供も産み、研究もハードにやり、しかも優秀なNing。彼女がいなかったら私たちのアメリカでの最初の生活はもっと大変だっただろうと想像する。めでたく博士号を取り、来月からシカゴでポスドクとして働く彼女の、研究者としての成功を心から祈る。
さて、今週は火曜日に共同研究ラボのあるコネチカット大学まで行って来た。片道2時間の旅。アメリカ人にとっては近いのだろうが、私には遠い。コネチカット大学は海に隣接している。訪れたラボの入っているビルディングは、ラボがすべて道路側、オフィスがすべて海に面している。あまりの眺めの良さに羨ましくなる。この日の目的は今後の研究の具体的な計画のためのミーティングとサンプリング。昼前から4時くらいまで滞在し、帰宅したのは6時半頃。全く研究には関係ないのだが、この日印象に残ったのは、コネチカット大学のすぐ近くにファイザー製薬の工場とエア・フォースがあったことと、ハートフォード近くにコルトのガン・ファクトリーがあったこと。大学は海に近くていいなーと思ったが、周辺にエア・フォースや製薬工場があるのはちょっと遠慮したい。