想像以上

 アメリカというと、自由で先進的なイメージがあったけれど、案外保守的で共産主義というか、全体主義の傾向がすごく強い国なんだなということが、住んでみて強く実感した事だ。特に宗教の影響が想像以上に強い国であるということを、アメリカに住んでひしひしと感じる。今日のセミナーのタイトルは「Defending the teaching of evolution against attacks by religiously motivated antievolutionists.」。アメリカ合衆国は文化的、思想的に両海岸と中南部がはっきり分かれていて、中南部の州はとても保守的で信仰心も厚い。そのため、キリスト教にとって認められない「進化論」を学校で教えるか否かという論争が激しい地域でもある。日本人の私に取って、本気で創造説を信じている人たちがこんなに大勢いるという事がすごく驚きで、「本当に本気?」と100回くらい聞きたくなっちゃうくらいである。同僚のLauraの前のボスがテネシーで子供のためのサイエンスの講演をした時、話の冒頭で進化論を持ち出したところ、会場にいた8割の親たちが子供を引き連れて帰ってしまったそうだ。8割も!!聞く耳も持たないなんて!!世界で一番の先進国と言ってもいいアメリカのこういう状況って、日本にいたころは知識としては知っていたものの、実感としてはなかなか湧いてこなかった。私からすると、「人間が神を作った」という前提で思考が始まるのだけれど、彼らにとっては「神がすべてを創造した」ということになるのだから、前提が全く違って話は平行線のままになるんだろうなーと思う。こういう問題って難しいな。