名探偵、ベートーヴェン

 何年だったか忘れたが、乱歩賞の作品。ベートーヴェンが主人公で、弟子のチェルニーとともにモーツァルトの死の謎に迫る推理小説。そこで鍵になるのが「魔笛」。今手元にその本が無いため細かい内容は忘れてしまったが、たいへんスリリング、かつ面白い内容で何度か読み返した。作品中のベートーヴェンはやはり気難し屋だが、弟子のチェルニーが軽薄な感じで、この2人の漫才のような掛け合いが楽しい。ピアノを習っていた人ならばチェルニーの教本にはお世話になっているだろうが、こういうキャラクター付けをしてくれると、大変楽しく練習できる。サリエリや、ベートーヴェンを尊敬する才能豊かな、しかし愛嬌もある幼少時代のシューベルトも登場し、小説を読んでいる間はその時代にトリップできる。楽譜に隠された暗号というのもなかなか魅力。

モーツァルトは子守唄を歌わない (fukkan.com)

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