奇妙な世界

 パリに住むブルジョワ夫婦の週末の物語。田舎の実家に帰省する2人だが、道中に様々な奇妙な出来事に遭遇し、巻き込まれて行く。ゴダールのメッセージを引用すると、「この映画は金曜日の夕方から月曜日の朝までパリのマイカー族をおそう集団的ヒステリーのありさまを描くもの」であるらしい。その通り、本当に次から次へと奇妙な出来事が出てくるのだが、その一つに田舎道の、それはそれは長い渋滞の様子がある。その渋滞の様子のカットもすごーーーーく長い。映画を見ていて眠くなるくらい。1ヶ月ほど前、バスに乗ってモールへ買い物へ行く時に、田舎道の渋滞にはまったことがある。大学の大きなアメフトの試合があるため、道の両脇にたくさんの車が路上駐車されており、なかなか前に進めなかったのだ。そのときの光景が「ウイークエンド」そっくりで、奇妙な気分になった。映画の最後に、ゲリラ(このゲリラ集団もめちゃくちゃ)の青年がドラムを叩きながら詩の朗読をえんえんと続けるシーンは夫のお気に入り。この映画を見たとき、「このイヤーな感じ、どこかで・・。」と思ったのだが、思い出した。D. マカヴェイエフの「スィート・ムービー」だ。マカヴェイエフの映画は性と政治がテーマだから当然さわやかになるはずも無いのだが、それにしてもあのグロさとヘビーさは、若かったからこそ楽しめたのだと思う。高校を卒業したばかりの私に、あの映画は強烈だった。「ウイーク・エンド」も性と政治と暴力とシュールさに満ちているけれど、そこはゴダールだけあって「スィート・ムービー」よりも洗練されている。歳をとった今でも楽しめる映画だ。

ウィークエンド [DVD]

ウィークエンド [DVD]